伊勢志摩旅行記1

1月からずっと18人の退職勧奨、いわゆるリストラを担当していて、ストレスがたまった。リストラは完了したけれども、今度はその余波で会社がガタガタしている。でもとにかく3日間休みを取って、家族と伊勢志摩の旅行に出ることにした。

まず9時に猫2匹を動物病院に預ける。そして10時9分小田原発ひかり号に乗った。ひかり号だと名古屋まで1時間ちょっと、こだまだと2時間かかる。ずいぶん違うものだ。

名古屋はいつも通過するだけの駅だが、今回は少し観光しようという計画。とりあえずメイチカという地下街の突き当たりにある「コンパル」という喫茶店に入る。ユーミンが贔屓にしている店とのことだが、まったく庶民的な店。小倉あんトースト、マヨ味噌カツサンド、アイスコーヒーを頼む。アイスコーヒーは、デミタスカップのホットコーヒーにまず砂糖を溶かして、氷の入ったグラスに注ぐのだが、意外と美味しかった。マヨ味噌カツサンドもキャベツとカツの具合が最高なのだ。これは帰りに夕食として持ち帰ろうという話になる。

時間もないのでデパート巡りをすることにして、名鉄百貨店、タカシマヤ、マツザカヤを回った。夫はまた「手羽先」を買って食べていた。美味しかったそうだ。マツザカヤではバッグの安売りをしていてオバチャンがたくさん群がっていた。通路が使えないほどの騒ぎなのである。売っているテキヤみたいな店員が上手なのだが、「ほら、なんとこれ、リュックにもなるんですよ」と言ったらオバチャンたちが「あらー!」とため息をついた。ビックリした。

2時に近鉄で松阪に向かう。静かな城下町だが、そこらじゅうに「和田金」と「牛銀」の看板が出ている。金銀と呼ばれるすき焼き屋である。店構えも温泉ホテルみたいで、赤じゅうたんで、けばけばしい。小樽のイワシ御殿みたいなもので、牛肉御殿なのだ。

松阪にはもう二度と来る機会はないだろうから、定番の本居宣長旧居跡や、松阪城趾を見て回る。本居宣長なんて高校卒業以来忘れていたが、古事記を解読した偉い国学者だったのだ。松阪城趾は静かで、石垣が荒々しくて、良い所です。

松阪のCafe Tomiyamaは雑誌Kunelなんかが置いてあって、古民家改造ふうの喫茶店。食器でも椅子でも、なんでも一回り小さい感じがする。「こぢんまりと生活する」なのだ。アイスロイヤルミルクティーに抹茶が入っていたのにはビックリした。

駅に戻り、タクシーですき焼き屋「海津」に向かう。国道沿いにけばけばしい巨大ネオンが林立している。関東より看板が大きいような気がする。海津の看板も巨大だ。これも御殿風。個室に通される。炭を置いたテーブルがあって、手入れのいい日本庭園が見える。池には錦鯉がいる。仲居さんに「きれいなお庭ですね」と言ったら「お金がかかります」と正直な答えが返ってきた。

すき焼きは美味しかったが、「概念が変わる」というほどではない。東京でも十分食べられる。それに安くもない。三人で、お酒を飲まないで二万六千円。一時間ちょっとで食事が終わってしまうのもあっけない。

松阪は京都、大阪、名古屋から近鉄が通過するので、時刻表が読みにくい。八時に賢島の志摩観光ホテルに入った。

千円で宝生苑という温泉ホテルの大浴場が利用できる。巨大レジャーランドみたいなホテルで、カラオケもゲームセンターもボウリングも浴衣で行ける。私は古くても志摩観光ホテルのほうが好きだ。