私の職業生活3

昼休みに赤裸々な性体験が聞けたこの会社で、もう一つ感心したのが、社内カップル続出ということだった。20人ぐらいの部署で、いつも2,3組はつきあっていて、バトルを繰り広げたり、ペタッとくっついたり、毎朝手をつないで出勤してきたり、ということがあった。もちろん社内結婚も多かった。
要するに男女はくっつくためにあるのだな、同じ場所にぶち込んでおけば、くっつくわけだと、改めて思ったのである。自分はといえば、当時は社交性のない(今もか)おかしな女だったし、大学にぶちこまれて、そこでくっついていた。
しかしこの会社は面白かった。性体験を日常的に打ち明けるぐらい、社員同士の関係が濃かったのである。あんなに集団的に濃くつきあった経験は、その後は外資系に入ってしまったせいもあり、一切ない。
言い方が驕っているのは承知で、私にしてみれば彼らは、友だちになるはずのない人々だった。ていうか、もともと友だちは少ないのだが、違う世界の人々だったのだ。優劣の話をしているのではない。日々考えていること、望んでいることが、まったく違う人々であった。でもこの会社ではそういう友だちが出来て、今でも会えば懐かしい。
ただ当時は夜になると大学まで走って行っていたし、彼氏とデートもしなくてはならなかったし、親とのバトルもあったし、留学しようと思っていたので貯金もせねばならず、そういうわけでやたら忙しく、いつも疲れ切っていた。あんな生活は二度としたくない。
だから仲が良いといっても、夏休み期間などに飲みに行ってバカ騒ぎをしたり、温泉に行ってバカ騒ぎをしたぐらいだった。もう少し満喫したかった。