私の職業生活2

ところで日系では差別されるから外資系に勤めたいと思うと同時に、私には夜間大学に行きたいという希望もあった。家にお金がなかったのと、高校時代に勉強を放棄した結果として大学に行けず、専門学校を卒業したのだが、やっぱり大学は出ておかなくてはと思ったのだ。
なぜかというと、その日系の会社で働くうちに、こんな社会でお茶くみなんかさせられずに、少しは浮かび上がるためには、大学で得る「一般教養がある的、視野の広そうなオーラ」が必要だと感じたのである。当時は、本当に彼らに教養や広い視野があるのかは分からないから、あくまでオーラと思われたのだが、そういうオーラがないと、結局、几帳面なだけが取り柄としてあればいいような処理業務しかさせてもらえないのだ。しかしそんなオーラは、実務だけを学ぶ専門学校に行ったのでは身につかないのだ。
まあ、事実として、ある程度の教養と視野の広さを感じないと、仕事を任せる気がしないというのはある。必ずしも大学を出なくてもいいのではあるが。
外資系に勤めるのと夜間大学に行くのは両立しそうもなく、そうなると今優先するべきなのは学校だろうということで、二部の大学に入った。そして昼間は、小さな日系の会社に、夜は大学に行くことを伝えたうえで入り直した。正社員として採用してもらえてラッキーだった。
しかしここも、別の意味ですごい会社だった。セクハラがすごいのだ。押し倒された、キスされそうになった、お尻を撫でられたといった話が日常茶飯事だった。昼休みにするのも強烈な下ネタ話ばかりだった。私は下ネタは嫌いではなかったが、
女子社員をセクハラの対象としてしか見ていないみたいな男性社員は、心の底から軽蔑するしかなかった。それに女子社員が、昼休みに、赤裸々に自分の性体験を打ち明けてしまうのもすごかった。もう、昨日はどこで、何回、どんなことをやって、どんなポーズで、良かったり良くなかったりして、今度はこんなことを試そうと思っていて、いやー今日は腰が痛い、みたいな話である。かわいい、清純そうな顔をして、「上が好き」なんて言うのである。
私はこういう話もけっこう楽しんでいたので、大学を卒業するまでその会社に勤めたのではあったが、やはりあまり赤裸々に性体験を語られるのは生臭くて、職場で聞くのはやだなーと思うようになった。若いカップルのやつはまだ、「新婚さんいらっしゃい」みたいでいいが、不倫とか、中年カップルとなってくると、いやらしさ倍増である。だいたい、一緒に仕事をしている時に、そんなことを思い出したくないではないか。知りたくないのである。今でも「自分は今生理中だ」と言う女子社員がいるが、知りたくないのである。