小田原駅西口タクシーの惨状

私は小田原西口のタクシーにはいつも困惑し、迷惑し、怒り、諦めている。とにかく客商売とは思えない対応なのである。
「○○幼稚園の横の坂を上がってください」
「えー? 坂なんかあっだが?」
「はい、社会福祉センターの信号を曲がらずにまっすぐ行く坂です」
「ふーん」
で、社会福祉センターの信号の手前で、左に曲がろうとするので
「まっすぐです」
「え、幼稚園に横付けするんでないの?」「違います。坂を登るんです」「幼稚園かと思った、なんだよー」
こんなやりとりは日常茶飯事なのだ。
そもそも、私はいつもワンメーターなので、運転手はムカつくらしい。「○○幼稚園の横の坂を上がってください」と言ったとたん、口をきかなくなる奴が多い。身の危険を感じるぐらい機嫌が悪くなる奴もいる。あまりに険悪な雰囲気なので、家に突っ込まれるかと思ったこともある。
そんなわけで、タクシーには出来るだけ乗らないようにしている。それでも、深夜だとか具合の悪い時には乗らざるを得ないが、非常に勇気を必要とする。
昨日は荷物があまりに多かったのでタクシーに乗ったら、助手席に教官らしき男が乗っていた。このためか、運転手は気持ちわるいぐらい愛想がよく、とってつけたような笑顔を浮かべていたのである。
しかし結局、道順について確認しなかったり、場所がそもそも分からないのに聞かなかったりで、教官にこっぴどく怒られていた。客たる私は、口出しせず黙っていた。
怒られると、運転手は不服そうに「……はい」と言うのである。だからといって、改めて私に聞くとか、謝罪するとか、そういうこともしない。心の底では、なんでこんなことで注意されなきゃいけないんだと怒っていることは見え見えだ。だから明日からは、教官がいなければまた恐ろしい運転手に成り下がるのだろう。
要するに、タクシーというものはサービス業だということが、運転手には分かっていないのだろう、運送業だと思っているのだろうと、私は思った。