温泉ホテルは日本のラスベガスである

先日、志摩に旅行に行ったら、宝生苑という巨大温泉ホテルが、賢島のうらぶれた寂しい駅前にドカーン!とあった。私たちは志摩観光ホテルという、由緒正しい正統派ホテルに泊まったのだが、大浴場がないので、風呂はこの宝生苑で入るのだ。以前行った時もあったのだが、リニューアルされて、ますます凄いことになっていた。何が凄いといって、ここには、カラオケ、ゲームセンター、ボウリング場などなどがホテル内にあり、浴衣姿で何でもできるのだ。

夫は、浴衣のおばちゃんたちがボウリングをしているのを見て、「どういうことなんだ!」と叫んだが、どうもこうもない、浴衣にスリッパでボウリングをして、太ももなどが露わになっても、気にしないのである。

このおばちゃんたちは、たぶん一日中、風呂に入ったり、食べたり、酒を飲んだり、ボウリングをしたり、カラオケを歌ったり、また食べたり、麻雀をしたり、また風呂に入ったり、酒を飲んだりという生活を、浴衣姿で、しているのだ。

これは思うに、日本人にとってサイコーのリラックス方法なのではないだろうか? やりたい放題、だらしない放題、気兼ねなし。

いまや温泉ホテルというのは、巨大レジャーセンターと化しているのではなかろうか。私はそこでラスベガスの巨大ホテルを思い出した。機能としてはほとんど同じことなのだろうと。

温泉というのはそういう場所であったのだと、認識を新たにしたことだった。