2010-02-22から1日間の記事一覧

オンライン小説「格差社会」8

三枝美由紀は若く見えるがもう四十歳だった。水商売の世界では「もう」四十歳、である。小田原駅から一〇分ほどの寂れた花街に、女の子が一人しかいない小さな店を持っていた。こんな安アパートに住んでいるので想像もしなかったが、店のオーナーなのだ。 と…

オンライン小説「格差社会」7

「ああー。そりゃー夢物語だわねえ。そんな根性あるの?」美由紀はそれでもチエミを面白いと思ったらしい。「あたし今日はもう支度して出なきゃいけない。明日は学校から何時に帰ってくる?」 「二時ごろ」進学校である小田原高校では、大学進学組に対して補…