定年退職に思う

定年退職される方々に、社会保険労務士とミーティングしていただく機会を設けました。年金、健康保険、雇用保険、どれもけっこう面倒で複雑なので、プロに説明してもらおうということです。

改めて62歳(私の会社の定年は62歳なのです)になろうとしている方々を見ると、まったく若いし健康だし、まだまだ普通に働けると思いました。

定年退職というのは、欧米にはない制度で、よく考えてみれば、年齢差別です。今日、実際に退職される方々と話していて、これは、木を切り倒すようなことだと感じました。

まだ花も咲くし、葉を茂らせて木陰を作ることもできる木を、邪魔だといって、切ってしまうということです。あまりに一般的になっているので、誰もそんなに残酷なこととは感じないかもしれませんが、やはり、いまどき60歳は若すぎるし、働くなというのは、ひどい話なのではないでしょうか。

ただ、唯一救いといえば、定年退職になることは既定の事実として最初から分かっていることですから、なんとか覚悟も準備もできるかもしれません。

しかし、リストラの場合、予告もなくやってくるので、心に受ける傷の大きさは計り知れません。

私も一度リストラされたことがありますが、いまだにそのリストラ「しやがった」社長に対しては怒っています。その社長は、ある意味、自分の生存を脅かした存在ですから、むしろずっと怒っているべきではないかと思ったりもします。

企業が慈善団体ではないことは百も承知です。「まだ働けるから」という理由だけで、人を雇用し続けることはできないことも分かっています。

しかし人を退職させる時には、その残酷さを認識して、出来る限り人間としてきちんと対峙するべきです。お金を積めばいいというものではありません。そうでなくては、憎しみだけが残っていきます。